2012年8月5日

8/5 ミニトーク1「全国の支援者の想いをつなぐ震災地雄勝の“新しい町づくり”について」

最終日、第一回目のミニトークはつま恋に引き続き、株式会社OHガッツの立花隆さんが登場。
meets 福しまの宍戸慈さんが進行を務め、「全国の支援者の想いをつなぐ震災地雄勝の“新しい町づくり”について」をテーマに、お話を伺いました。


東日本大震災を機に、出身地の宮城県へと戻ってきた立花さん。
現在は、地元の仙台から更に北に80kmの位置にある「雄勝町」で生活しています。
雄勝町は美しいリアス式海岸に面し、昔から養殖業が盛んだった場所ですが、もともと高齢化が進んでいたこの町を襲った震災により、人口の8割が流出してしまいました。

そんな町をボランティアで訪れた際に、立花さんは漁師たちの声を聞きます。
「家も漁具も船も、そして身内まで失った人たちが、食べるものもないときに“新しい漁業をするぞ”と言うのを目の当たりにして、人間の深いところから出るエネルギーを生まれて初めて感じたんです」(立花さん)。

そこで立花さんは住民票を雄勝町に移し、地元の漁師たちと共にOHガッツという会社を立ち上げて、野菜のように、魚介の契約販売をおこなう「そだての住人」をスタート。
雄勝の自然が育んだ、おいしい牡蠣やホタテなどが送られてくるだけでなく、実際に作業を見学・体験することで、漁業を身近に感じることができる取り組みです。

生産者と消費者という枠を超えた、新しいコミュニティづくりのかたちである「そだての住人」には全国から2200人が参加、1年間で4500万円が集まり、漁師さんたちは漁業を再開するための道具や設備を整えることができたのだそう。


被災地では津波によって一気に問題が引き起こりましたが、これは日本が抱える根本的な問題。
数年後には過疎化や漁業が衰退して、日本全体で同じような状況になるのではないかと、立花さんは語ります。
「生まれたときよりも、山や海をきれいにして次に渡す」という立花さんの言葉には、これからの日本の在り方への重要なヒントになるように思います。

「震災から1年半、被災地はがれきの撤去以外にはまだ何も変わっていないような状況です。
だから、時間がたったから行きづらいということはありません。
ぜひ、みなさんも被災地に足を運んで、そこに住む人々の営みを感じ、笑顔を見ることで逆に元気をもらってほしいですね」と、話してくれました。


雄勝の人々を映すスライドを見ながら、生き生きとした顔で話す立花さん。
日本の農業や漁業はまだまだ大きな可能性を秘めている、ということを感じさせてくれました。