ap bank fes ’12 Fund for Japan、最後のeco-reso talkは、作家、ミュージシャン、俳優など、多方面で活躍をしているクリエーターのいとうせいこうさんと、社会学者で稀代の論客である宮台真司さんという豪華な顔ぶれ!
テーマは「日本人のこころのゆくえ」。
3.11以降、原発の問題をはじめ、さまざまな問題が浮き彫りになってきた今、「宮台さんの言葉を借りれば、(国や行政に)『お任せしておいて文句を垂れる』という“依存体質”が我々日本人の中にはある」と小林が問題定義をすると、「崖っぷちに必ず<危険>の看板を建てているのは日本だけ。いつからか過保護になってしまった」(せいこうさん)、「日本は世界中のどこよりも安心・安全・便利・快適で、どこよりも人が不幸な国になってしまった」(宮台さん)と、敗戦後、日本国民が自信を喪失してから国を建てなおしていく際に、国へ、アメリカへ、依存する性質が構築されてしまったのでは……などの議論が交わされました。
「『原発が止まると大変なことになる』というお上の言葉を信じている人々もたくさんいるけれど、みなさん、今年はいつになく暑い夏ですが、まったく大変なことになっていません」(宮台さん)。
「江戸時代の人たちは低成長経済の中にいたけれど、夏は川沿いで夕涼みをして楽しく暮らしていた。僕もクーラーは使わずにベランダで涼んでいるけれど楽しいです。シアワセとはなにかということですよね。」(せいこうさん)。
「3.11以降、原発さえ動けば景気が良くなる、という人もいますが、みんな思い出してほしい。3.11前も日本の景気はそんなによくなかったんですよ」というせいこうさんの言葉には、深く頷いている人が多くいました。
「“景気がよくなる”ということに対してコンセンサスがとれていない。もっと具体的なイメージを持たなければ。」と小林も続けます。
本日の登壇者である3人を繋ぐもののひとつは、せいこうさんと宮台さんが発起人となり、小林武史も賛同人として参加している「グリーンアクティブ」です。
グリーンアクティブとは 「所属する党や持っているイデオロギーが多少違っても、グリーンに関心があり、TPPに関心がある……、という人たちが集まるプラットフォームのようなところです」と宮台さん。
「NPOだったり、市民団体だったり、今、色々な活動をしている小さな団体がたくさんあって、そこをネットワークするブリッジのようなものになれれば」と、せいこうさんも続けます。
「小さなコミュニティから、小さく小さく積み上げていくからこそ、できることもあるはず。そこを繋げていくことが大切だと思う」とも。
(※詳細はグリーンアクティブのHPを)
「デモも報じられれば市民運動となって、法律をひっくり返すこともできるかもしれない。だから、例えば今日のような集まりについても、参加したみなさんにはTwitterなどで広げてもらいたいんです。」とせいこうさんは言います。
「最近は反原発デモなども盛んですが、大事なのは“報じられるデモ”をすること。TwitterやFacebookで広まっていけば、メディアも無視ができなくなる」という宮台さんの言葉に、「TwitterやFacebookなどは自分はあまり得意じゃないけれど……」と前置きをした小林も「そのボーダーラインを首相官邸前で行われている反原発デモのあたりで越えてきた気がする。ジャスミン革命もそうだけれど、ネットメディアが民意を伝える役割を果たしているということに救いを感じた部分がありました」と答えます。
小さな行動、小さな団体、小さなイベント、その一つひとつが繋がっていけば大きな動きになる。
例えば、小さな買い物ひとつでも消費者運動に繋がる。
それぞれが意識を持って行動していけば、きっと日本の未来に繋がるということを再確認できるような3人のトーク。
課題や問題点はたくさん浮かび上がってきたけれども、未来は自分たちで変えられるんだと思えるような議論に、猛暑の中、大勢の方が最後まで聞き入っていた様子。
話題が尽きることのないまま時間がなくなってしまい、「もっと話したいけれど、時間がないのでまた今度……」と再会を約束してのお開きとなりました!